黒い龍は小さな華を溺愛する。

「あいつんちはなぁ……。離婚してて母親が女手一つで夕晴を育てていたんだよ。でも今は入院中でね」


「えっ!?そんなこと一言も……」


「そうなのかい?まぁ、自分ちの家庭事情はなかなか人にいいづらいことだからなぁ」


確かに私だってお母さんの事何も話してない。

でも常盤くんの家と状況が少し似ていることに驚いた。


「常盤くんのお母さんは病気なんですか?」


「精神病ってやつだよ、最初の頃は夕晴と一緒に住んでいたようだけど、だんだん病状も悪化していって入院せざるを得なくなったんじゃないかな。メンタルがおかしくなった母親を側で見ているのも小さい子には酷だったと思うよ」


「精神病……ですか」


「こんなこと話したのは沙羅ちゃんが初めてだなぁ」


「どうして私に……」


「なんでかな、沙羅ちゃんならあいつのことわかってやれるんじゃないかと思ってね?これからも助けてやってくれるかい?」


助けられてるのはいつも私の方なのに、常盤くんを助ける事なんてできるんだろうか。


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