黒い龍は小さな華を溺愛する。
「えっっと……それはだって、宇崎さんが伊田くんとっ……」
女子の一人がごもごもと話し出す。
気付いたら周りにも野次馬の生徒が集まってきていた。
「知ってるよ、でも俺は沙羅を信じてるから……」
相羽くんは傷ついたような笑顔を見せた。
なにそれ……
自分が撮ったのに……
その笑顔の裏にはどんな顔が隠れてるの……?
女子たちは「相羽くん優しすぎるよ!」とか
「騙されてる!かわいそう!」と
反論していたけど
「俺は大丈夫だから……」
と、切ない表情で笑っていた。
傷ついたのは私なのに。
どうしてそんな顔ができるの!?
呆気にとられていた私の手に、相羽くんが鞄を持たせてきた。
「沙羅、昨日忘れてったバッグ」
「いやっ!」
バシッ
手を触られて思わず振りほどいてしまった。