黒い龍は小さな華を溺愛する。
「しかし沙羅ちゃんと夕晴が付き合うとはなぁ」
「合わない……ですよね」
「いや、そうなるんじゃないかと初めから思ってたよ」
「え!?」
「夕晴の気に入りそうな子だなぁってね」
篠原さんに初めて会った時、私はまだ変わる前の姿でイメージが悪かったと思うのにどうして……。
「最初に会った時も美人だとは思ってたけど、髪を切ってますますべっぴんさんになったんじゃないか?」
「えっそんな……紫藤くんと常盤くんのおかげですっ」
笑い合ってると「余裕そうだな」と背後から声がしたので驚いた。
「常盤くん!」
いつの間にいたんだろう、今の話聞かれてないよね!?
「なんだ夕晴、俺が沙羅ちゃんと話してたから焼きもちか!?」
「……まぁ、そんな感じ」
常盤くんが後ろから私の頭の上に顎を乗せ、体重をかけてきた。