黒い龍は小さな華を溺愛する。

「常盤くん、重いっ!」


重いのもあるけど、それよりも篠原さんがいるのにくっついてきて恥ずかしい!


「自分の女が他の奴と楽しそうにしてたら嫉妬するでしょ」


「……え!?」


心臓が止まりそうになった。

自分の女……って。

密着してる部分が熱くなって顔から火が出そう。


篠原さんがガハハと大きい声で笑った。


「こんなじじいにも嫉妬するなんて夕晴も末期だなぁ!」


常盤くんは全然離れてくれない。

こんなんじゃ心臓が持たないよーっ。


ガラッ


「もうやってるー?」


お客さんが急に入ってきて驚いた。


もう夜の部の開店時間なんだ!


「常盤くんっ離れてっ……」


「あーもう開店か」


パッと私から離れ、なんともない顔で厨房へ向かった。


人と密着してるのになんであんな平気な顔でいれるの!?

私ばっかりドキドキしてバカみたい……。


やっぱり常盤くんはこういうの慣れてるのかな。


胸がちくっと痛んだ。


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