黒い龍は小さな華を溺愛する。


「なに?」


「う、ううん!なんでもない!」


常盤くんにこれ以上心配かけさせたくない、ただでさえストーカーのこと気にしてたのに。


「じゃ、行くぞ」


私にヘルメットを被せると、ふわっと頬にキスしてきた。


「え!?ちょっ……」


こっちが動揺してても平然とした態度でバイクに跨る。

常盤くんってスキンシップ多くない?

どんなつもりでキスするの!?

クールな人かと思ってたからそのギャップに驚きだ。


そしてあっという間にアパートに着いてしまった。

常盤くんのバイクの後ろ座席に乗るのがとても好きになっていた。

暴走族に入ってるのに運転も荒くないし乗り心地がすごくいい。


「送ってくれてありがとう」


バイクから降りてヘルメットを渡すと、常盤くんは私の右手を掴んだまま離さなかった。


「どした……の?」


「バイトどうだった?」


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