黒い龍は小さな華を溺愛する。


部屋に入った途端、母が「あの子のせい?」と言ってきた。


「え?」


「急に髪切ったり、メイクしたりさぁ、変わったのはあの子のせいでしょ」


「常盤くんのせいって……私がしたくてやったんだよっ」


「あれだけ髪切るなって言ったのに……あんたにそういう髪形は似合わないから」


「お母さ……」


私を見る母の目が冷たい。

まるで汚いものを見るかのような目つきだ。


「わかってんの?不細工だからそれを隠してやってたのに!あの男だってね、あんたのこと本気じゃないでしょ!遊ばれてるってわかんない!?」


ドクンと心臓が嫌な音を立てた。

相羽くんのことを思い出したからだ。

ここのところずっと常盤くんに優しくしてもらってて忘れかけてたんだ。

あんなにショックなこと言われてたのに……。

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