黒い龍は小さな華を溺愛する。
私のバッグが地面に勢いよく落ち、周りがざわつく。
「ちょっと!黙ってみてればっ……」
さっきの女子が再び私に迫ってきたけど、相羽くんがそれを阻止した。
「いいから!俺が沙羅に何か気に障るようなことしちゃったのかもしんないしっ」
その言葉にますます火が付き騒ぎ出す生徒達。
「謝罪しろ!」とか「土下座ー!」とか私に非難の言葉が投げかけられた。
「相羽くんが我慢する必要ないよ!」
「そうだよ!なんでこんな女庇うの!?」
すると誰かが私の頭を掴み、「謝れよ!」と無理やり下を向かせられた。
相羽くんは気さくで優しいから男女共に人気がある。
私なんかがあんな態度とっちゃったらみんな怒るに決まってる……。
でも相羽くんはどうして私を……。
「痛っ!」
強く頭を掴まれて昨日の事が蘇る。