黒い龍は小さな華を溺愛する。
「くだらねぇことしてんなよ」
顔を上げた彼を見て驚く。
遠くからでもわかる。
整った顔立ちにゆるいパーマがかかった黒い髪の毛は白いハイライトが入っていて綺麗だった。
その姿を見た生徒たちがざわつく。
するとギロリとこちらを睨み、
「1人じゃなんもできねぇくせにな」
と言って上靴を履いた。
すると誰かが「常盤夕晴(ときわゆうせい)だ」と言っているのが聞こえた。
常盤夕晴って……
名前だけは知ってる。
1年生の時は違うクラスだったけど、有名だったから。
彼は喧嘩が強くて有名なチームのリーダーだということ。
中学生の時に、年上のヤンキーと8対1の喧嘩をして勝ったということ。
そしてこの高校を首席で入ったのではないかという噂もあった。