黒い龍は小さな華を溺愛する。
これからこういうことが頻繁にあったらどうしよう……、泊まれるところなんてない。
「やばー!遅刻する!じゃね、戸締りしてってよー!」
慌ただしくバッグにメイク道具などを詰め込み、出て行ってしまった。
「どうしよう……どうすれば……」
今まで夕飯代としてもらってきたお金を少しずつ貯めてきてはあるものの、高校生の私が親の同意書なしでビジネスホテルなんかに泊まれるんだろうか……。
母が帰ってくる時間までは出て行かなくてはならない。
とりあえず私服に着替えて外へ出た。
悩んでいるうちに随分暗くなってしまった。
はぁ……。
もう色々なことが重なって食べる気にもならない。
私はこれからどうなるんだろう。
きっと母にとっても私は邪魔な者でしかない……。
昨日の事も言えるはずがなかった。
といっても帰ったら母は仕事でいなかったのだが。