黒い龍は小さな華を溺愛する。


「背が小さいのも気にしてるんですよ……」


「じゃもっと背筋伸ばせば?猫背だから小さく見えんだよ」


「はい……」


わかってるけど、気付くと猫背になってしまうんだよね……。


「ってか、あんた名前なんだっけ?登録しとく」


今更だ……、私の名前なんて興味なかったんだろうな。


「宇崎沙羅です……」


「うさぎ?」


「ちがっ……」


「覚えやすいし、うさぎでいーや」


「え!」


「ふっ。うそうそ、宇崎沙羅だろ?」


常盤くん、笑った時にえくぼができるんだ……。


可愛い……。

って、ときめいちゃダメだよ私。

もうあんな思いしたくないんだから。


私はこの〝ドキドキ〟が治まるように、拳を胸に当ててぐっと力を込めた。



常盤くんはそんな私の顔を見て

「沙羅、またな」

と言い、バイクであっという間に見えないところまで行ってしまった。


沙羅って!

突然の名前呼びにビビる。


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