黒い龍は小さな華を溺愛する。
「お母さん、私バイトしていい?」
「バイトォ?」
酔っぱらっている母に言ってもダメだと思ったけど、今言いたかった。
「ラーメン屋さんでね?ほらもう高校生だし自分のこづかいは自分で稼ごうかと……」
「ふぅん……まぁラーメン屋ならいいんじゃない」
そう言って私にすがったまま寝てしまった母。
よかった……一応許可を得ることができた。
些細なことだけど、私にとっては大きな一歩だった。
数時間前に歩道橋の上で死のうとしてた自分には考えられない事。
私、やっぱり変わりたいんだ。
少しの勇気で変われるなら頑張ってみようか。
そう思えるようになったのも常盤くんのおかげかな……。
ほんの少しだけ希望が見えて、目の前が明るくなったのを感じた。