黒い龍は小さな華を溺愛する。

シンデレラな気分

昼休み、常盤くんは先生に呼ばれて教室を出て行った。

その後ろを「待って！」と絵里沙ちゃんが追いかける。


やっぱり絵里沙ちゃん、常盤くんのこと気になってるのかな……。

胸が少しモヤッとしてしまうのはなんでだろう。


それより紫藤くんがPCルームで待ってるから行かなきゃ。


お昼用に買っていたパンを持って廊下に出たとき、「おい」と呼び止められた。


この声は相羽くんだ……。


振り返りたくなかったけど無視できないのが辛い。


彼は周りに聞こえないくらいの声量で「朝のアレ、なんだよ」と言ってきた。


「朝って？」


「常盤となんかしゃべってたろ？お前ら接点なんてねぇじゃねーかよ」


何を気にしてるのかと思えば……。


「別に……相羽くんには関係ない」


「は？なにその態度。そういう態度取っていいと思ってんの？」


「……もう私に構わないで」