私の想いが開花するとき。
「お前さ、無理な時は無理って言わなきゃ駄目だぞ?」
「うん、分かってるよ。もうその言葉宏太に何億回言われたことか。最近は言われてなかったのになぁ」
心のざわつきに気づかれないよう里穂はヘラっと笑ってみせた。
「何億回だって言ってやるよ。お前は無理しすぎ」
宏太の指が伸びてきて額にピンっと軽くデコピンを食らい、「痛いなぁ」なんて普通を装っているけれど里穂は顔が赤くなっていないか内心ドキドキしすぎて、喉もカラカラだ。
――ずっと、ずっとずっと大好きだった宏太が帰ってきた。