俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く~ドSな旦那様の甘やかし政略結婚~
一番嫌いな人と結婚することになりました
五年勤めた会社の退職日、晴れやかな気持ちでオフィスをあとにした。
両手には、大きな花束とたくさんのプレゼント。
いつもは電車で通勤しているけれど、混み合う車内では目立ちそうだし、歩いて帰宅することにした。
時刻は午後六時半。
バッグからスマートフォンを取り出し、晩ごはんを用意して待っている母に、【いつもより少しだけ遅くなります】とメッセージを送る。
明日は二十七年生きてきた中で最も大切な日だから、早く帰って備えたい気もするけれど、今夜はきっとドキドキしすぎて眠れない。
「そこのお嬢さん、落としましたよ」
いつもは通らない路地裏で、不意に声をかけられた。
老婦人が簡易の机と椅子を出してぽつんと座っている。
年齢は七十代くらいだろうか。ゆったりとした玉虫色のワンピース姿で、グレイヘアをお団子にしている。
机には黒い布がかけられていて、水晶玉と【占】と書かれた札、小さなランプがあった。路上占い師のようだ。
「えっと、私ですか?」
「ええそうよ。お財布かしら?」
彼女の言葉に周囲を見渡すと、道の隅っこに私の財布が転がっていた。
両手には、大きな花束とたくさんのプレゼント。
いつもは電車で通勤しているけれど、混み合う車内では目立ちそうだし、歩いて帰宅することにした。
時刻は午後六時半。
バッグからスマートフォンを取り出し、晩ごはんを用意して待っている母に、【いつもより少しだけ遅くなります】とメッセージを送る。
明日は二十七年生きてきた中で最も大切な日だから、早く帰って備えたい気もするけれど、今夜はきっとドキドキしすぎて眠れない。
「そこのお嬢さん、落としましたよ」
いつもは通らない路地裏で、不意に声をかけられた。
老婦人が簡易の机と椅子を出してぽつんと座っている。
年齢は七十代くらいだろうか。ゆったりとした玉虫色のワンピース姿で、グレイヘアをお団子にしている。
机には黒い布がかけられていて、水晶玉と【占】と書かれた札、小さなランプがあった。路上占い師のようだ。
「えっと、私ですか?」
「ええそうよ。お財布かしら?」
彼女の言葉に周囲を見渡すと、道の隅っこに私の財布が転がっていた。
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