俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く~ドSな旦那様の甘やかし政略結婚~
「おなか……が……」

切れ切れに訴えると、彼が私の腹部に触れる。

「……筋性防御がある」

眉をひそめてつぶやく彼がなにを言っているのか理解できない。

「私、たぶん、ストレスで……」

今まで感じたこともないほどの苦しさに意識が朦朧としながらも、なんとか伝えた。

「ストレス?」

「はい……、胃腸炎かなにかだと……」

「いや、ただの胃腸炎ではないだろう。熱も高いし腹膜炎を起こしている可能性がある。すぐに病院へ行くぞ」

「えっ……?」

素早く診断した彼に抱き上げられ、タクシーで相馬総合病院に向かった。

話し合いの真っ只中に受診することになるなんて、急展開に頭がついていかない。

まずは血液検査とCT撮影が行われる。

白のドクターコートを羽織った隆成さんが、診察室でデータを見つめ深刻な面持ちになる。

「白血球と好中球の増加、CRPの上昇……、虫垂炎が破れ、膿性の腹水が貯まっている。腹膜の肥厚、腹腔内の脂肪組織濃度の上昇が見られる」

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