俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く~ドSな旦那様の甘やかし政略結婚~
私だけが話についていけず、口をパクパクさせる。

「千里さんとふたりで話してもいいですか?」

私を見つめながら、隆成さんが両親たちに切り出した。

「もちろんだ。そうしなさい」

許可を得ると、私たちは離れの個室から日本庭園に出た。

小川が流れ、まるで絵画のように美しい景観だ。

「どうしてあんな心にもないことを言ったんですか? すぐにでも籍を入れたいだなんて……」

ふたりきりになった途端、私は隆成さんに責めるような目を向けた。

「俺は本音しか言っていない」

「嘘ですよね、私たち昔から寄れば衝突ばかりなのに」

隆成さんは無神経で無慈悲、意地悪でずけずけものを言うし、それに反発する私とは相性が悪い。喧嘩は一度や二度じゃなかった。

「まあ、昔の俺がガキだったのは認める。兄さんしか見ていないおまえに、嫉妬して素直になれなかったからな」

「嫉妬?」

「俺はずっとおまえが好きだった」

出し抜けに告げられ、瞬きも忘れて固まった。

『好き』の二文字は、隆成さんから決して発せられるはずの言葉ではない。

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