俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く~ドSな旦那様の甘やかし政略結婚~
「信じられないって顔だな」

「当たり前じゃないですか。そんなに病院を継ぎたいんですか? だから私との結婚も受け入れるということですか?」

「二十年越しの告白を聞き流すな。次期院長の座に興味はない。実力主義のアメリカで働くほうが、俺には水が合っているしな」

さらっと二十年越しという言葉を付け加えられた。

「だったら……」

「全部、千里を俺のものにするためだろ。ニューヨークで誰にも文句を言わせないくらいのキャリアを積んだのも、病院を継ぐ決断をしたのも。たとえ兄さんが千里と結婚すると言っても俺が奪うつもりだった」

あまりにもまっすぐな瞳に、思わず吸い寄せられてしまう。

にわかには信じられないが、隆成さんは本気のようだ。

ふと昨日、路上占い師に言われたことが脳裏をよぎる。

光一さんではない別の男性が見える――その人が私を一途に愛してくれる人だって――。

それは、隆成さんだったということ?

「この俺にここまで言わせておいて拒む気か? そもそも俺たちは政略結婚で、おまえひとりの力では今さらどうにもできないけどな」

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