俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く~ドSな旦那様の甘やかし政略結婚~
「千里はお嬢さま育ちなのに、しっかりしてるよな。いいんじゃないか。せっかく取った資格だ。うちで活かしてもらえるなら助かる」

快諾してくれた隆成さんに、ほっと胸を撫で下ろした。

明日にでも人事の担当者に話をしておいてくれるという。

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

後片付けを終え、私もお風呂に入り、リビングのソファに腰を下ろした。

時刻はもうすぐ午前零時。隆成さんは三十分前に寝室に入った。ベッドはひとつだから、彼が眠るまでここで時間をつぶすつもりだ。

なぜなら夜方面での覚悟はできていないから。

私たちは政略結婚で、当然跡継ぎを作る努力義務はある。両親たちが期待しているのも知っていた。

母は私ひとりだけしか産めなかったことを申し訳なく思っているようで、その母のためにも私がたくさん産めればいい。

とはいえ、隆成さんとは再会したばかりだ。昔から知っていても、恋人として付き合っていたわけじゃない。おまけに私は処女だし、少しくらいは心の準備がしたかった。

……そろそろ寝たかな。

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