俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く~ドSな旦那様の甘やかし政略結婚~
大病院で働くのは初めてで、思ったよりも大変だった。それでも人間関係がいいおかげで、二週間もすればそれなりに馴染めた。

院内中に私が次期院長夫人だと知れ渡っているけれど、医療事務員仲間には露骨な態度を取る人もおらず、居心地もよい。

隆成さんと同じ職場になって驚いたのは、その凄腕ドクターぶりだ。

彼もここで働き出してまだ一カ月くらいだけれど、すでに救命が困難な症例の患者の執刀や、緊急手術もこなしているという。

「一カ月前、副院長が挨拶のために医局に初出勤した日に、絞扼性SBOの患者が救急搬送されたの」

昼休憩に社員食堂でお昼ごはんを食べていると、医療事務員仲間の瀧石(たきいし)さんが話し始めた。

副院長とは隆成さんのことだ。

瀧石さんは三十代の二児の母で、隣接している保育所に子どもを預けて働いている。

相馬総合病院は福利厚生が充実していて、近くに保育所やオートロック完備の職員寮が数カ所あり、安心して働ける環境だ。

社員食堂のメニューも豊富でおいしい。

「SBO?」

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