俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く~ドSな旦那様の甘やかし政略結婚~
「小腸閉塞のことよ。患者は一刻を争っていたんだけど、手が空いているドクターがいなくて、オンコールの医師を呼ぼうとしたら、副院長が執刀すると申し出てくれたの。緊急で既往歴も不明で、狭窄部位が多発していて全身状態もかなり悪かったんだけど、副院長は腹腔鏡でたった数ミリの穴から驚くほど短時間で癒着の剥離を成功させたの。その優れた判断力と卓越した医療技術たるや……ベテランの先生も早速舌を巻いていたわ」

熱く語る瀧石さんの頬が高揚している。そのときの光景を思い出しているようだ。

「初っ端からそれよ。しかも医局に顔を見せに来ただけの日に。あの場合、消化器外科の医長だったら開腹してたって言ってたけど、副院長にとっては難易度の低い腹腔鏡下手術だったみたい」

隆成さんは患者に優しい手術を心がけていて、体への負担の少ない最先端の診療を行うそうだ。

おかげでその絞扼性SBOの患者は傷痕も痛みも小さく済み、術後の回復も早く一週間で元気に退院したという。

「副院長はメスさばきも神業なんですよ。副院長に執刀してほしくて、わざわざアメリカからやって来た患者までいるんです」

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