俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く~ドSな旦那様の甘やかし政略結婚~
横から同じく医療事務員仲間の酒井(さかい)さんという、二十代の女性が興奮した様子で続けた。

「へえ……副院長ってすごいんですね」

私は箸を止めてつぶやいた。

「なに他人事みたいに言ってるの。旦那さまでしょう?」

私の反応があまりにも薄いから、みんなに笑われてしまった。

でも関心がないわけではなく、すごすぎて圧倒されているのだ。

それに、なんだか私が知っている隆成さんじゃないみたい。

病院内でときどき彼を見かけても、直接的なかかわりがないし、彼は家で自分自身の仕事について特に話さない。

夫の彼と医師の彼が、イコールでつながらなかった。

「若先生がいなくなってどうなるのかと思ったけど、相馬総合病院は安泰だわ」

若先生とは光一さんのことで、病院内でそう呼ばれていたそうだ。

「なんと言ってもあの五メートルくらいある長い脚で手術室や検査室、病棟、外来を颯爽と駆け回る副院長の姿は眼福すぎますよね。見ているだけで病気が治りそうです」

「わかる」

「本当に脚が長い」

「顔もすこぶるいいです」

「非の打ち所がないわ」

近くに座っているみんなが口々に続けた。

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