俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く~ドSな旦那様の甘やかし政略結婚~
仮にするとしてもここは日本。しかも職場で勤務中になどもってのほかだ。

隆成さんのこれまでの女性関係についてはなにも知らないけれど、そういう不埒な人だったなんて。

ついこの間も私を『ずっと好きな女』だとか言っていたのに、あやうく騙されるところだった。


その夜。

午後九時を過ぎても、隆成さんは帰って来なかった。

夕方に【エリザと会うから遅くなる】という明け透けなメッセージが入っていたけれど、それは私に浮気現場を見られて開き直ったということだろうか。

普通なら一刻も早く帰宅するべきなのに、私の機嫌はどうだっていいようだ。

信頼を回復するどころか失う一方で、どんどん腹が立ってくる。

するとそのとき、スマートフォンに光一さんから着信があった。

『千里ちゃん、ひさしぶり。元気にしてる?』

光一さんが岡山県の離島に渡ってから初めての電話だった。

優しい声を聞いただけで胸がいっぱいになる。

「光一さんこそ……。診療所はどうですか? うまくいっていますか?」

聞きたいことがありすぎて、矢継ぎ早に質問してしまった。

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