俺様外科医は初恋妻に一途な愛を貫く~ドSな旦那様の甘やかし政略結婚~
アシェルさんに頼まれた。午後の診療受付はまもなく終了するから、少し待ってもらえれば問題はない。

「はい、もちろんです」

「いや、アシェルは俺が案内する」

了承するも、隆成さんがすぐに遮った。

「え? 私が案内しますよ」

「俺ももうすぐ手が空く」

「へえ? 意外な一面を見ちゃったな。リュウセイは独占欲が強いんだね。知らなかったよ」

私たちを眺め、アシェルさんは興味深そうな表情をした。

私は首をかしげる。

「リュウセイは僕とチサトをふたりきりにしたくないんだろ?」

「当たり前だ。千里は俺だけのプリンセスだからな」

アシェルさんの冷やかしをものともせず、隆成さんは口の端を吊り上げた。

私は耳まで熱くなる。

よくそんな甘いセリフをさらっと口にできるものだ。しかも公衆の面前で。

っていうかこれは言われた私のほうが絶対に恥ずかしい。

立ち尽くす私に向かって、隆成さんは愉快そうに目を細めると、アシェルさんを連れてどこかに行った。

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