狂おしいほどに愛してる。
sideユリ



【もう、終わりにしよう】


たった一言、その言葉を告げるだけでいい。


でも、どうしてもそれが言えない私は、ただの臆病者で卑怯者だ。



「ユリ。今日泊まってくだろ?」


「……うん」



甘美な誘いに頷いてしまえば、そこからはズブズブと快楽の渦に飲み込まれていくだけ。



「……あ、だめ……」


「だめ?どこが?」


「そこ……だめっ」


「"だめ"じゃなくて、"気持ち良い"の間違いだろ?」



私の上で汗を滲ませて妖艶に微笑んだ彼は、私の唇に吸い付くようにキスをした。


甘くて、どこかほろ苦くて、それがまたクセになって、一度知ってしまえば離れられない。


……まるで麻薬のような彼は、かつて私の恋人"だった"ヒト。



つまり今は、私ではない"別の女性"のモノ。

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