狂おしいほどに愛してる。
しかし。
「……もう、終わりにしよう」
続いた言葉に、俺は頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。
「もう、こんな関係やめよう。お互い苦しいだけだよ」
こちらを見ることもせずに、涙声で必死に告げるユリ。
その背中はいつにも増して小さくて、今にも倒れてしまいそうな儚さ。
「……ユリ、ごめんな」
「っ……バカっ」
「ごめん」
俺のせいで苦しめて、ごめん。
俺のせいで、そんな言葉を言わせてしまってごめん。
俺が言うべきことを言わせて、ごめん。
情けなくて、不甲斐なくて。お前を幸せにしてやれないくせに縛り付けるような、どうしようもないクズな男でごめん。
「チハヤ」
「うん」
「……私、チハヤのこと、大好きだったよ」
「っ……あぁ。俺もだ。俺もユリが大好きだった。だからこそ手放せなかった。ごめん」
「ううん。ありがとう。苦しかったけど、それでもチハヤと一緒にいられるのは嬉しかった。幸せだった。……じゃあね、バイバイ」
一度もこちらを見ることなく部屋を出て行ったユリ。
「……ユリ、ごめんな……」
その背中を見送り、俺は無言で涙を流す。