片恋プロセス

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こうちゃんにお父さんの会社の件を
言ったら“七海の家は俺が守る”って
言ってくれた。やっぱりこうちゃんだ。
これでいつも通り私は待っていれば、
こうちゃんが何とかしてくれる!
それなのにいつまで待っても
こうちゃんは何にもしてくれない。
それどころか連絡も全然こない。 だから私が“どうするの?”“どうしたら良いの?”と連絡すると“考えてるから”の
一点張り。どーいうこと!?
そんなことしてるうちに、お父さんが
“七海と結婚出来るなら、
援助してもいいって言ってくれる人が
いるんだけど?”って言ってきた。 
有り得ないから!私にはこうちゃん
がいるし!すぐにこうちゃんに連絡して、お父さんに言われた事を伝えた。 
こうちゃんは驚いてたけど 
“そんな事させない”って言ってくれた。
よしっ!
これで大丈夫だ。それなのにまた
一向に連絡がこない。 

「一体どうなってるの?」

とこうちゃんに連絡してみれば

「ちゃんと考えてるけど、自分の仕事もバタバタしてて」

若干イライラ気味。いやいや、仕事より私でしょ!?イライラしてるの私もだから。

「でもこのままじゃ結婚させられちゃう」

「分かってるよ!」

結局、埒が明かないまま電話は終わった。
しかも険悪な感じ。でも大丈夫。きっといつものパターンになるはず。
暫くしてからこうちゃんから
“会って話がしたい”と連絡がきた。
ほらね。やっぱり謝ってきてくれて、
問題も解決してくれるんだ。
なんて思いながら待ち合わせ場所に
行った。 


「七海、別れて欲しい」

「えっ!?」

「ごめん。俺、結婚する」

は!?結婚って!?だってこうちゃんが
付き合ってるのって私だよね!?
どうして!?
何がどうなってるの?

「結婚って?」

「七海と別れて、別の人と結婚する」

「私の事、嫌いになったの?」

「そう思われてもしょうがない」

「誰と!?私の知ってる人?」

「華ちゃん」

「華ちゃんってこうちゃんが勉強教えてた
 子?私は自分がこうちゃんと結婚すると
 思ってた。それなのに何で華ちゃん
 と!?」

「俺は七海と結婚する気は無い。自分で
 華ちゃんと結婚するって決めたんだ。
 俺の事は恨んでくれて構わないから」

それからはもう訳が分からなかった。
何を聞いても、泣いて縋っても、
“ごめん” 
“華ちゃんと結婚する” 
“無理だ”の繰り返し。“
もう連絡しない。連絡先も消す”
とも言われた。こうちゃんの意思は固く、これ以上は無理だと思い“分かった”
とだけ言って別れた。

もう何もやる気が起きない。何もかもが
どうでも良くなって私もお父さんに
言われた人と結婚すればいいやと
思っていたら
“幸太くんから紹介してもらった人から
助けてもらえることになったから
七海は結婚しなくて大丈夫になった”
と言われた。
あれ?こうちゃん、ちゃんと動いて
くれてたの?何だかんだ言っても
結局は私のお願い、聞いてくれたんだ。
もう別れたかもしれないけど、
お礼の連絡位してもいいよねと思い
電話したが繋がらず、メールも届くこと
は無かった。

別れて数ヶ月後、こうちゃんのお母さん
からこうちゃんが結婚したと聞いた。
本当に結婚したんだ…こうちゃんと
私は一体なんだったんだろう。
それからは特に何事も無く過ごしてた。
新しい人なんて出来なかった。だってこうちゃん以上の人なんていないんだもん。
友達には“いい加減諦めなよ。っていうか元々佐伯くんに依存し過ぎだから”なんて言われた。


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