片恋プロセス
3
またお父さんが“仕事が上手くいかない”
って言ってきた。私にはどうすることも
出来ないのに!あっ!またこうちゃんに お願いすればいいのか!これは一大事
だし、いくら別れたからって幼馴染には
変わり無いし。
連絡繋がらないだろうから、
こうちゃんのお母さん伝いに連絡を
取ってもらうことにした。
奥さんも一緒で良いと言ったのが
功を奏したのか案外あっさり日程は
決まって、こうちゃんの実家で
会える事になった。私はこのとき、
お父さんの会社の事より、こうちゃんに 会えるって事に浮かれていた。
約束の時間より少し早く着いて
こうちゃんのお家で待ってると、
こうちゃんと華ちゃんが来た。
正直、華ちゃんなんて目に入らなかった。こうちゃんを前に懷かしさが蘇る。
軽い挨拶を交わして、本題に入った。
こうちゃんはすぐに“助けたいと思ってる”と言ってくれた。
やっぱりポッと出の人より私だよね。
その後、華ちゃんは怒って出ていった
けど、こうちゃんの事は譲ってくれた みたいだし、こうちゃんは私の味方だし、私にとってはラッキーだなんて考えてた。そしたら急に幸太のお母さんから
“今日は帰って貰ってもいーかな”
なんて言われた。
なんで!?幸太のお母さんは
小さい頃から知ってるし、断然私優先
何じゃないの!?でもお母さんの
雰囲気がいつもと違う事にびっくりして 逃げるように帰ってきてしまった。
そのまま家に帰る気にもなれず、
街をプラプラしてたら電話が掛かって
きた。非通知だったけど、
絶対こうちゃんだと思ってすぐに出た。
「七海か?」
「うん。こうちゃん、さっきはありがと
う。助けたいって言ってくれて嬉しかっ
たよ。こうちゃんは私を選んでくれた
って事だよね?」
「いや、違う。勘違いさせて悪かった。
俺、華が傍に居てくれて凄い幸せ
なんだ。七海の状況に同情して、自分
だけ幸せで申し訳ないと思って助けたい
なんて言った。前回の七海のお父さんの
会社は、華がたった1人で頑張ってやって
くれた事なんだ。それなのに、華の前で
あんなこと言って傷付けた」
前回の件を華ちゃんが?私はお父さん
から幸太が紹介してくれた人としか
聞いて無かった。自分が見ず知らずの人
と結婚しなくて良くなって、
それ以外には興味もなかった。
「でも華の事、これ以上悲しませたくな
い。華の事が好きなんだ。これからも
ずっと一緒に居たい。無責任な事言って
会社の件、期待させておいて申し訳ない
けど、今も今後も力にはなれないし、
会うつもりもない」
「何で!?こうちゃん、今までだって
私が言えば何でも助けてくれてたじゃ
ない!?」
「いつもそうだったよな。俺が少しは
自分で考えろ、自分で何とかしようと
しろって何度も言っても“何で?”
“どうして?”って。それじゃあ駄目
だったのに。今回はことが事だから、
コンサル会社に相談した方が良いと
思う。冷たいこと言ってる自覚あるけ
ど、元々この状況をどうにかする力なん
て俺にはないし、俺に言えば何でも出来
るなんて過信し過ぎだから」
なんでこんな事になったんだろう。
今までそうだったからそうしただけ
なのに。
何だかんだ言って、結局最後には手を
貸してくれるのに。こんなにはっきり
拒否されるのは、こうちゃんと
出会って初めてだ。
いつから道を間違った?
こうちゃんが居れば無敵。
こうちゃんは私が言えば何でも
叶えてくれる。
私はこうちゃんがしてくれるのを
待てばいいだけ。
あれ?私がしたことは何?待ってるだけ?
いやいや、カレカノだったんだから頼って頼られってがあったはず。あれ?頼られたことってあったっけ?私だけが頼ってた!?その事にこうちゃんから注意されたこともあったけど、いつものことだと深くは考えなかった。でもこうちゃんはどう思ってた?そんなこと一度も考えた事なんて無かった。
“依存”
友達に言われた事を思い出す。
これが依存?
自分がそれに当てはまる?
これがいけなかったの?
もっと早く自覚してたら変わってた?
今更、後悔してもこうちゃんは戻って
来ない。