片恋プロセス

閑話 同期side


俺の同期は仕事が出来る。頭もイイ。
明るい性格。人付き合いも上手い。
そしてイケメンときたもんだ。
それを鼻に掛けるわけでもない。
一言で言うなら“完璧”だ。
まぁ当然の事ながらモテる。ウチの会社
にも隙あらばと思ってる女性職員も居る。誘われる事も多い。だが、誘いには
一切乗らない。
間違いなく彼女は居るだろう。
でもその手の話はしない。
そんな同期が入社3年目に入ってすぐ
結婚した。
相手は誰だ!?社内に激震が走った!
でも丁度受け持ってるプロジェクトで
忙しくそんな話を聞いてる暇もない。
少し話したと言えば、

「新婚なのにこの激務に奥さん理解
 あるよな」

「文句一つ言わないで食事を作って、
 帰りを待っている。こんなもんなん
 じゃないの?」

おいおい…奥さんがべた惚れってことか?
奥さん、健気じゃないか。ってかこの
同期、恋愛に関しては淡白なのか!?
だから女性職員の誘いにも乗らなかった
のか!これだからイケメンは!

プロジェクトが落ち着いて余裕が
出てくると、同期の雰囲気が以前より
柔らかくなっている事に気付く。
始めはプロジェクトで
気を張ってたんだな位にしか
思っていなかったが、どうやら違う
らしい。実は同期がこっそり
デートスポットを調べてるのを
見てしまった!なんだなんだ、
クールな振りして、ちゃっかり
奥さんとデートする場所調べてるのか!?ラブラブじゃないか。

そんな同期、奥さんのおめでたに加えて、遅ればせながら結婚式をやるという。
俺も参加して欲しいと言われ、
ガッツポーズ!
いよいよ奥さん拝見!

なのにあとちょっとで結婚式。
幸せ絶頂であろう同期が
思い悩んでる事が目に見えて分かる。
どうかした?と声を掛けてみれば、

「プロポーズしたいんだけど、
 どうしたら喜んでくれるかと思って」

はっ!?お前、もう結婚してるよな!?
ってか奥さん妊娠してるし、
もうすぐ結婚式だし!

「いやいや、プロポーズしたから結婚して
 子どもが産まれるんじゃないの?」

「あぁー、プロポーズは向こうにされた
 感じで。あれ?俺も一応したかな?
 返事もしたようなしてないような…。
 しかも婚約指輪も結婚指輪もない」

煮えきらない話な上に酷過ぎる…ってか 結婚ってそんな曖昧で出来るもんなの?
俺の同期、何でも卒なくこなしそうなのに、恋愛に関してはポンコツだな!
ハイッ決定!マンガみたいな
シチュエーション、やってもらっ
ちゃいましょ!

「とりあえず、指輪用意しろ。それで、
 夜景が綺麗な場所で、王子様みたいに
 ひざまずい指輪入りのリングケース
 差し出しながら素直に結婚して欲しい
 って言え」

「そっか。わかった」

「おぉ、頑張れ。しっかり伝えてこいよ」

後日…夜景が綺麗な場所では無かった
ものの、しっかりやったらしい…。
その姿見たかった!
ってか俺の言う通りにやるなんて、
可愛い過ぎるだろ!
“泣いて喜んでくれた” “お前のお陰だ”
と同期、ご満悦。
面白がった事に若干の罪悪感。
同期よ、ごめん…
でも奥さん喜んでくれたならいいか。

やってきました!結婚式当日!
やっと奥さんとご対面!
この結婚式が驚きの連続だった。
まず、奥さんめっちゃキレイ。
そりゃ、社内の女性職員に見向きも
しないはずだわ。
新郎新婦の紹介ではこれまたびっくり。
奥さんの学歴!美人な上に頭までいいのか!?それに出逢いが奥さん13歳って!
しかも勉強教えてたって! 
美味し過ぎるだろ!マジで羨ましいぞ!

式中は同期が奥さんを気遣ってるのが
よく分かった。ちょいちょい話し掛け、
たまに奥さんのお腹擦ってる。
あと顔なっ!甘いっ!
こんな同期、今までに見たことない。
挨拶に行った時“幸せそうだな”って
伝えたら“この上なくな”だってさ。
くぅ〜!!!かっけぇなぁ〜。
ポンコツなんて思ってすみません。

なにはともあれ、良い式だった。 
俺も結婚してーなぁー。
同期よ!末永くお幸せに!
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