片恋プロセス
生産期に入り、赤ちゃんの大きさも
2500gを超えた。産まれる時は
絶対傍にいると言い切っている幸太は、
準備も抜かりない。もういつ産まれても
良いからと先生からは散歩を促されれば、ふたりで公園まで歩いたり、
ベビー用品を見に行った。
本当に良きパパ、良き夫だ。
そんな風に過して迎えた38週。
陣痛がきた。はじめは
“チクっ”とした痛みがたまにあるだけで
陣痛だとは思わず、いつも通りに
過していると徐々に痛みが増し、
とりあえず病院に連絡すると、
陣痛が10分間隔になったら
来てくださいと言われた。
用意していた荷物を玄関に置き、
仕事中の幸太に連絡。
すぐに繋がったが、途端
「陣痛か!?」
なんと察しがいい。
「そうみたい。病院に電話したら10分間隔
になったら来て下さいって言われたの。
まだ間隔長いから、家で待機中なんだけ
ど、一応連絡しておこうと思って」
「えっ!?それで大丈夫なの!?今、出先
でこれから打合せなんだ。終わり次第
すぐ向かうけど2時間後位になる。
今すぐ帰りたい」
幸太が焦っている事がよく分かる。
っとなると意外と自分が冷静に
なれるものみたいで
「まだ陣痛の間隔が長いから大丈夫だよ。
そのくらいの方が丁度いいかもしれない
よ。ちゃんと待ってるから気を付けて
来てね」
「ごめんな、あんな意気込んでたのに
これだよ。打合せ、最短で終わらせて
みせるから」
「そんなことないよ。お仕事中なのに
すぐに電話繋がって安心したよ。
それに来てくれるんでしょ?」
「もちろん!すぐ向かう。とりあえず、
華の方もウチの方も俺が電話しておく
から。無理すんなよ」
「ありがとう。待ってるね」
それから30分程で10分間隔になった為、
陣痛が落ち着いているタイミングで
タクシーを呼び病院へ向かった。
診察台にて内診した後は子宮肛が
開くまでは陣痛室で待機。
出産って意外と待機時間が多いんだな
っと思っていたまでは良かった。
陣痛の波がくると背中や腰が痛いし、
ずっとトイレにいきたい様な感覚まで
ある。どんどん間隔が短くなっている
から、それらがずっと続いてる感じだ。
たまに看護師さんが来てくれたと
思えば、“もうちょっとね”
“初産にしては順調だよ”
“痛かったら息吐いて痛み逃して”
もう訳が分からない。
どこがもうちょっとだ!?
これが順調!?
息吐いて痛み逃がす!?
看護師さんは励ましてくれているのだう。だが、余裕がない。看護師さんが
悪い訳ではないのに言い返したくなる…
全然大丈夫じゃない…
その時、ドアが開いた
「幸太!?」
兄だった…
「悪かったな。大丈夫か?」
「全然大丈夫じゃない。弱音吐きたく
なる。幸太に会いたい」
「はいはい。お前のそのブレない姿勢、
ホント尊敬するわ。お前の強みだろ?
耐え抜くの。頑張って元気な赤ちゃん
産んでこい!」
「励まされてる?」
「俺なりに。甥っ子抱かせてくれるん
だろ?お前が言ったんだ。
楽しみにしてろって」
「覚えてたんだ。お兄ちゃんってホントに
思ってる事しか言わないよね。頑張れ
なんて言われたの久々」
「俺も“お兄ちゃん”って呼ばれるの
久しぶりだと思うけど」
ウチの兄妹は別に特別仲が良い訳では
ない。だから、まさか1番にここに
来てくれるとは思わなった。
そして励まされるとも。兄のお陰で
少しだけ気が紛れたのは確かだった。
2500gを超えた。産まれる時は
絶対傍にいると言い切っている幸太は、
準備も抜かりない。もういつ産まれても
良いからと先生からは散歩を促されれば、ふたりで公園まで歩いたり、
ベビー用品を見に行った。
本当に良きパパ、良き夫だ。
そんな風に過して迎えた38週。
陣痛がきた。はじめは
“チクっ”とした痛みがたまにあるだけで
陣痛だとは思わず、いつも通りに
過していると徐々に痛みが増し、
とりあえず病院に連絡すると、
陣痛が10分間隔になったら
来てくださいと言われた。
用意していた荷物を玄関に置き、
仕事中の幸太に連絡。
すぐに繋がったが、途端
「陣痛か!?」
なんと察しがいい。
「そうみたい。病院に電話したら10分間隔
になったら来て下さいって言われたの。
まだ間隔長いから、家で待機中なんだけ
ど、一応連絡しておこうと思って」
「えっ!?それで大丈夫なの!?今、出先
でこれから打合せなんだ。終わり次第
すぐ向かうけど2時間後位になる。
今すぐ帰りたい」
幸太が焦っている事がよく分かる。
っとなると意外と自分が冷静に
なれるものみたいで
「まだ陣痛の間隔が長いから大丈夫だよ。
そのくらいの方が丁度いいかもしれない
よ。ちゃんと待ってるから気を付けて
来てね」
「ごめんな、あんな意気込んでたのに
これだよ。打合せ、最短で終わらせて
みせるから」
「そんなことないよ。お仕事中なのに
すぐに電話繋がって安心したよ。
それに来てくれるんでしょ?」
「もちろん!すぐ向かう。とりあえず、
華の方もウチの方も俺が電話しておく
から。無理すんなよ」
「ありがとう。待ってるね」
それから30分程で10分間隔になった為、
陣痛が落ち着いているタイミングで
タクシーを呼び病院へ向かった。
診察台にて内診した後は子宮肛が
開くまでは陣痛室で待機。
出産って意外と待機時間が多いんだな
っと思っていたまでは良かった。
陣痛の波がくると背中や腰が痛いし、
ずっとトイレにいきたい様な感覚まで
ある。どんどん間隔が短くなっている
から、それらがずっと続いてる感じだ。
たまに看護師さんが来てくれたと
思えば、“もうちょっとね”
“初産にしては順調だよ”
“痛かったら息吐いて痛み逃して”
もう訳が分からない。
どこがもうちょっとだ!?
これが順調!?
息吐いて痛み逃がす!?
看護師さんは励ましてくれているのだう。だが、余裕がない。看護師さんが
悪い訳ではないのに言い返したくなる…
全然大丈夫じゃない…
その時、ドアが開いた
「幸太!?」
兄だった…
「悪かったな。大丈夫か?」
「全然大丈夫じゃない。弱音吐きたく
なる。幸太に会いたい」
「はいはい。お前のそのブレない姿勢、
ホント尊敬するわ。お前の強みだろ?
耐え抜くの。頑張って元気な赤ちゃん
産んでこい!」
「励まされてる?」
「俺なりに。甥っ子抱かせてくれるん
だろ?お前が言ったんだ。
楽しみにしてろって」
「覚えてたんだ。お兄ちゃんってホントに
思ってる事しか言わないよね。頑張れ
なんて言われたの久々」
「俺も“お兄ちゃん”って呼ばれるの
久しぶりだと思うけど」
ウチの兄妹は別に特別仲が良い訳では
ない。だから、まさか1番にここに
来てくれるとは思わなった。
そして励まされるとも。兄のお陰で
少しだけ気が紛れたのは確かだった。