大人ってズルい

しかし、イザベラが十歳になった頃、大きな転機が訪れることになる。それは雪が積もった寒い日のことだった。

孤児院の自由時間、雪が積もっているため寒い中でも子どもたちはマフラーやコートで防寒対策をし、雪だるまを作ったりして遊んでいる。そんな中、イザベラは薄着で雪の積もった庭にいじめっ子たちによって連れ出されていた。

「や〜い、化け物！化け物！」

「お前みたいな奴、死んじゃえばいいんだ！」

いじめっ子たちに取り囲まれ、イザベラに雪玉が投げつけられる。雪玉が当たるたび、痛みを感じる。寒さで震え、イザベラは口を開いた。

「やめて！私、これ以上誰も傷付けたくない！」

そう言ったものの、いじめっ子たちは「化け物のくせに偉そうなことを言うな！」と言い、イザベラを突き飛ばす。イザベラは木に強く体をぶつけてしまった。刹那、ゴウゴウと低く不気味な音がこだまする。

「何だこの音」

「吹雪でも起きるのか？」