涙ノ結晶
Ⅱ.この幸せを、
(ここは、どこ…?)
「…でさ、っておい!小牧聞いてんのかよ」
思いだした。
今私は聖と一緒に下校している途中だった。
少し前まで、この伸びている影が一つだったのに。
今では私の影より少し大きな影が、隣に並んでいた。
それが私にとっての、小さな幸せ。
『ごめん、もう一回いって?』
携帯のメモ帳に文字列を打ち込む。
携帯も便利になったなぁ…。
て、おじいさんかよ。私。
頭の中で話を盛り上げている私に聖は、ごつんとげんこつを打った。
『痛い!』
携帯に素早く文字を打ち込み、聖を睨む。
「ばーか。自業自得だろ。」
『なんで』
私は、携帯に文字を打つスキルが驚く程上がったと思う。