スカーレットの悪女
「実莉はすごいな、人間ドックなんて言葉知ってるのか。
忘れてたよ、仕事が忙しくて行けなくて」

「ダメだよパパ、自分の体は大事にしないと！」

「はは、実莉はお喋りが上手だな」



必死に訴えても、たかが4歳の子どもの言葉なんか本気にされるはずない。


だけど、諦めるわけにはいかない。


壱華の生活を脅かす母親たちの好き勝手には絶対させない。



「だって、パパが死んだら壱華はどうなるの？」

「大丈夫、パパは死なないよ」

「だって私、知ってるよ。ママは壱華のこと好きじゃないって」

「……」



必死に訴えると、パパはやっとこっちを向いた。


……分かってたんだ、パパがいない時、壱華が蔑ろにされてるって。


私を見つめるその目は泳いでいる。


迷うなら畳みかけよう。
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