スカーレットの悪女
「泣きながら寝てるの?」

「お前が刺された時からこうだ。だいぶ落ち着いてきたが、今でもたまにうなされる」



志勇の口から淡々と、衝撃の事実が語られる。


そして自分がいかに楽観的で浅はかだったのか思い知らされた。


そうだよ、逆の立場で想像すれば分かることじゃん。


壱華が刺されたら私だって食事が喉を通らない。


何度もその光景が浮かんで、ショックでしばらく寝つけない。



「昨日も“血が止まらない”とうわ言を呟いていた。
昨夜眠れなかったせいか、気がついたら昼過ぎにソファに横になって寝ていたが、泣き出してこのザマだ」

「ごめんね、壱華」



大切な家族が私のせいで何度も悪夢を見て、何度もうなされている。


その事実が重くのしかかっていたたまれなくなって、いつの間にか私も泣きべそをかいていた。
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