スカーレットの悪女
「いいの涼ちゃん!?」



この流れで助けを求めるつもりが、まさか涼ちゃんから提案されると思わず、同じ声量で食い気味に反応してしまった。



「いいに決まってるでしょ!むしろみーちゃんなら大歓迎!」



またハグされたから、颯馬にドヤ顔を見せつけると「いい性格してるわー」と怖い目付きで睨まれた。


へへん、そんな顔したって涼ちゃんは私の味方だから怖くないもんね。



「涼ちゃん大好き〜!」



これ見よがしに抱きつき、作戦が成功したことを喜んだ。


そう、私は涼ちゃんの良心を刺激して、安全な場所に移り住もうと考えていたのだ。


涼ちゃんは組員でもなんでもないけど、荒瀬一権力のあるお嬢だってことは分かってるから。


下心で近づいたのは申し訳ないけど、まさか一緒に住もうと提案してくれるなんて。


優しさが嬉しくてまた少し泣いた。


こうして私は、潮崎組に身を置くことになった。
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