スカーレットの悪女
「理叶と光冴もよろしくね!」

「はあ、騒がしくなるな」

「涼さんもとんでもないじゃじゃ馬引き受けたね」



勢い余って、並んで立っていた理叶と光冴に同時に抱きつく。


言葉は歓迎してないけど、2人して頭を撫でるその手は優しい。


顔を上げると、2人とも柔和な笑顔でこっちを見ていた。



「元気そうでよかった」

「元気すぎて逆にビビったわ。まだしばらく安静にしときなよ」



まだ10代の2人は、荒瀬兄弟みたいなとげとげしさがなくて親しみやすい。


優しくて頼もしくて、男気あふれてかっこいい。


ふたりとはこれからもずっと友達でいたいけど、2人は荒瀬の幹部として裏社会に骨を埋める覚悟を決めている。


2人が大人になった時、私はいったいどうしているんだろう。


そもそも生きているのかどうかも危うい。


苦難を乗り越えた壱華と志勇が結ばれて、ハッピーエンドを迎えた時の想像はできるのに、自分のことはさっぱり分からない。
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