スカーレットの悪女
その時、私に抱きついていた壱華が手を離した。


壱華の顔を見ると、志勇を見つめて少しさみしそうな目をしている。


私に注目してた志勇は、その異変に気がついて壱華に近づいたけど、壱華は何も言わず目を逸らす。


……あれ、なんで急にギクシャクしてるの?もしかして壱華、私に嫉妬してる!?



「壱華、どうした?」

「なんでもない……」

「もしかしてこいつに気があると思ったのか?安心しろ、こんなチビガキに興味はねえ」

「そうだよ、志勇は壱華がどストレートでタイプなんだから!」



すると志勇は、嬉しそうに壱華の腰を抱いて言い聞かせる。


私もそんな気は無いと主張したら、突然壱華が顔を上げて志勇を睨んだ。


あれ、嫉妬してたわけじゃない?



「……訂正して」

「は?」

「私の大切な実莉のことチビガキなんて言わないで!」



すると壱華は、はっきりした口調で志勇に文句を言う。


もしかして、壱華が悲しそうな顔したのって、志勇が私のこと雑に扱って軽視するから?


そうだった、壱華も私が大好きなシスコンだった!
< 121 / 807 >

この作品をシェア

pagetop