スカーレットの悪女
「わたしのことを大事にしたいなら、実莉を蔑ろにしないで!」

「……怒った顔もかわいいな」



壱華は大真面目に志勇を叱っていたけど、全く響いていないみたい。


むしろ壱華の怒った顔を嬉しそうに見つめていた。


いや、気持ちは大いにわかるよ。壱華はどんな表情も超かわいいから。



「聞いてる?」

「ああ、今日もたまらなく愛おしい」

「全っ然、わたしの話聞いてない……志勇なんて嫌い!」

「おい、壱華。嫌いはやめろ」



うっとりとした表情の志勇は抱きしめようとしたけど、その前にすり抜けられ壱華は逃走した。
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