スカーレットの悪女
「荒瀬組顔広っ……それより、私がこれから壱華の代わりにおとりになるってこと!?」

「不満か?」



急展開に目を白黒させながら詰め寄ると、YES以外の返事は許さないって顔をされた。


ふーん、さすがヤクザ。壱華以外がどうなろうと知ったこっちゃないって顔ね。


まあ、思ってた100倍壱華にぞっこんで安心したけど。



「壱華を守るためならお安い御用よ。
ただし、命の保証はしっかりしてよね。あと、命の危機があるなら、後悔しないようにしっかり贅沢させてもらいますから!」

「はっ、傲慢だな。だが気に入った」



傲慢なのはどちらなのか。そんな言葉は口をつぐんで、代わりに笑って見せた。


こうして、私が壱華に成り代わるという、予想だにしなかった作戦が幕を開けた。


この作戦が吉と出るか凶と出るか。それは転生者の私でもさすがに分からなかった。
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