スカーレットの悪女
「声がすると思ったら、颯馬が来ていたのか」



潮崎組の応接間で騒いでいると、誰かが襖を開けて中に入ってきた。


この深みのある声……間違いない、涼ちゃんと理叶のお父さんだ。



「お久しぶりです、祥一郎(しょういちろう)さん」



颯馬は私から手を離し、剛さんと一緒に深く頭を下げて挨拶をする。


潮崎祥一郎。彼は理事長──若頭と同等の地位にいる人間で、荒瀬組の幹部。


立場は志勇と同じでも、何十年も前から荒瀬を支えてきた柱の1人だ。
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