スカーレットの悪女
「残念だな、涼は出かけてしまったよ」

「いえ、今日は実莉に用事があったので」

「そうか……」



颯馬が来たのは、てっきり涼ちゃんに逢いに来ていると思い込んでいた祥一郎さん。


しかし違うと否定され、悲しそうにつぶらな目を伏せた。


実は涼ちゃんパパ、密かに颯馬と涼の恋を応援しているのだ。


この前、こっそり私に教えてくれたから間違いない。


そして「この話題を話せる子に会えて嬉しい」と語っていた。



「祥一郎さん、安心してください。颯馬さんはガッツリ涼ちゃんを引きずってるので」



こうしてひょんなことから大幹部に気に入られた私は、ウインクしながら小生意気なことを言っても許してもらえる間柄になった。
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