スカーレットの悪女
「兄貴さ、実莉ちゃんを巻き込んだこと怒られたんだって」



やっと手を離した志勇を睨みつけると、颯馬が状況を説明してくれるらしく後ろから近づいてきた。



「なんで?」

「カタギの子どもを巻き込むなんてありえないって」

「……へえ」



たぶん、志勇を叱った上層部の人は難癖つけたかっただけだろうけど、さすが最後の任侠団体・荒瀬組だ。


カタギに迷惑をかけないとか、その辺の線引きはしっかりしてるんだ。


それにしても、荒瀬を我が物顔で仕切る志勇が叱られたと聞いたら少しは鬱憤が晴れた。



「……なんだ、腹立つ顔しやがって」

「へっへーん、叱られてやんのー!」

「あ?」



それだけに飽き足らず、日頃の恨みを込めて分かりやすく挑発してみた。


大丈夫、この程度じゃ殺されないはず。


一応お気に入り認定されてるから、どこまで許してもらえるのか見定めるために、馬鹿みたいな挑発をした。
< 139 / 824 >

この作品をシェア

pagetop