スカーレットの悪女
「助けて壱華!」



だからって私もやられっぱなしのわけにはいかない。


壱華に抱きついて、潤んだ目で助けを求める。



「見て、爪の跡付くまでアイアンクローされたの!あいつありえない!」

「てめえが挑発してしたんだろうが」

「原因作ったのは自分でしょ?」



壱華を挟んで言い合う私たち。


壱華はちょっと困った顔をして、志勇に笑いかけた。



「志勇、ひとつだけお願い聞いてあげるから喧嘩はやめて?」



妖艶で蠱惑的な笑みに、志勇はコロッと表情を変えて壱華を見つめた。
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