スカーレットの悪女
「ようこそお越しくださいました。壱華様でございますね?」

「……はい、そうです」

「それから妹の実莉さんでお間違いないですか?」

「ふぉぉぉ……!」



物語の重要人物・組長の現側近であり幹部の鳴海司水(なるみしすい)だ!


私は彼のあまりの美形っぷりに圧倒されて、興奮を声に出してしまった。


すると荒瀬兄弟は揃って冷たい視線を向けてくる。


ねえ、ふたりともそんな顔しなくてももいいじゃん!



「実莉?」

「はっ、はい、相川実莉と申します」



壱華が不思議そうに見つめているから、我に返って頭を下げた。



「おふたりとも初めまして、荒瀬組組長の側近に勤めております。鳴海司水です。
若のご両親のもとまでご案内させていただきます」



司水さんは丁寧にお辞儀をして挨拶をする。


なんて優雅で美しい所作。


私はまた見とれてしまって「美しい……」と今度はがっつり言葉を発してしまった。
< 151 / 807 >

この作品をシェア

pagetop