スカーレットの悪女
「兄貴に不満があるのは分かるけど、とりあえずここに居たら目立つから中庭に行こう」



颯馬は私の首根っこを掴むと、連行するように応接間から離れる。



「不満ありまくりよ!でも壱華が私の変化を見逃すはずがないから、今度2人きりの時間を設けてくれると思う!」

「すごいよね、みーちゃんは」



私が歩き出したら手を離したけど、同時に颯馬の表情が曇って見えた。



「何が?」

「俺は兄貴のこと嫌いだから、そんな風に信頼できない」



そうか、颯馬はあの暴君志勇に振り回されて大変だもんね。



「最近は台風みたいなみーちゃんとつるんで厄介さが増してるし」

「つるんでる?絡まれてるだけだから!」

「はーあ、胃に穴が空いたらどうしよう」



作中では狡猾な男、として紹介されていた颯馬。


だけど私の知る颯馬は、ずいぶん素直で親しみやすく感じる。
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