スカーレットの悪女
「久しぶり力さん!元気してた?」

「実莉、場所を考えろ!」



優しくて頼もしい力さんだから怒られないと思ったけど、慌てた様子で無理やり引き剥がされた。


なんで?今まで抱きついても拒否されなかったのに。

不思議に思って首をひねると、廊下の曲がり角の向こうに人が立っていることに気がついた。


志勇と司水さんだ。


おかしいな、組長夫妻に壱華を紹介してたはずじゃ……。



「お前もロリコンだったのか……」



志勇は、私がいつか剛さんと出会った時みたいにドン引きしていた。


司水さんはその隣でくすくす上品に笑っている。



「ち、違います!そんな顔しないでください若!」



力さんは手を大きく動かしてなんとか誤解を解こうと頑張って弁明していた。
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