スカーレットの悪女
「危険因子を排除したい、そのお気持ちは分かります。
ですがお二方のように、壱華は私にとってのかけがえのない、たった一人の家族です。
どうか、壱華をよろしくお願いします」



畳に手をつき、頭を深く提げて懇願した。


知るか、とはねつけられてもおかしくはない。


ところが組長は何も言わず、紘香さんは「顔を上げて」と凛とした声で話しかけてきた。



「驚いた……姉妹で同じことを言うのね」

「え?」

「“私はどうなってもいいから、実莉をよろしくお願いします”。
壱華ちゃんがそう言ったから、あんないい子にそう思わせる妹ってどんな子なんだろうと思ったの。
それで少しいじわるしちゃった、ごめんね」

「壱華が……?」



壱華も同じような発言をしていたなんて。


でも壱華はおそらく、真実をまだ知らない。


私が水面下で焦っていることに察して、危険が迫ってると薄々勘づいているのかもしれない。


私たちは自分のことより、お互いのことを優先しちゃう姉妹だから。
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