スカーレットの悪女
「いい子たちね、ますます気に入っちゃった」

「……」

「ね、冬磨?」



組長は終始静観していたものの、紘香さんの笑顔にふん、と鼻を鳴らして私の目を見た。


その目には負の感情は感じられず、ただまっすぐな眼差しだった。


壱華とは目も合わさなかったくせに、私にそんな視線を向けるのはどうして?


荒瀬の男たちは本当に意味が分からない。


だけど、悪い印象を与えたわけではなさそうだ。


100分の1の確率でもいい。流れを好転することができたなら、今日のこの出会いは大収穫だ。
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