スカーレットの悪女
side 司水


「では実莉さん、お元気で」



対談を終え、玄関まで見送った彼女に手を差し出す。



「あ、握手?司水さんと!?いいんですか?」

「ええ、もちろん」



先程の実莉さんの言動に感心したため、今のうちに唾をつけておこうと握手を促す。


彼女は頬を赤く染め、緊張気味に手を重ねて「もう洗えない……」とぼそりと呟く。


柔らかく温かい手が感動で震えていることに気がつき、思わず吹き出すように笑った。


まったく、志勇の言った通りこの子は本当に何を考えてるか分かりませんね。
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