スカーレットの悪女
「それにしても惜しいわね、実莉ちゃん」

「何がだ?」

「あの子が男なら欲しかったでしょう、冬磨」



断定に近い問いを投げかけられ、オヤジは押し黙った。


否定はしない、という意味の沈黙だった。


確かに男なら幹部候補になり得る逸材。


頭の回転の速さと、昭和を感じさせる並々ならぬ根性は今どきの若者では珍しい。



「だからって出る杭を打っちゃだめよ、実莉ちゃんは自由が似合う子だから」



姐さんは今一度釘を刺し、オヤジの顔をじっと見つめる。
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