スカーレットの悪女
「お前、黒帝を使って何を企んでる」



ああ、なるほど。


ヤクザとは関係ないとはいえ、神木会のせがれたちを匿おうとしているから私に疑念を抱いたわけだ。



「さすが若頭、情報が早いね」

「その物言いだと、何か計画していることは明らかだな」

「うん、でも荒瀬には迷惑かけないし、わざわざ志勇が潮崎に乗り込んで来てまで探る必要は無いと思うけど?」

「自分を犠牲にするやり方はやめろ」



何も悪くないから堂々とした態度で説明しようとしたけど、志勇の言葉に拍子抜けした。


てっきり勝手なことはやめろって怒られるかと思ったのに。


私は露骨に驚いて目を泳がせてしまった。


あれ、そんなに人情深い男だった?



「ヤクザのあんたがそれを言う?」

「お前が死んだら壱華が悲しむ」

「……ははっ、壱華大好きじゃん」



かと思ったら、やっぱり壱華絡みだった。


私に何かあったら壱華が悲しむから嫌なんだ。壱華が関係したら分かりやすい男だ。


でも、私を見つめるその瞳がほんの少し揺れて、心配してくれているのかもと期待した。
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